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新年度の保護者会が開かれたので久しぶりに次男が通う学校へ行って来ました。
本数の少ない路線バスを待って遅れるより、遠くても30分歩いたほうが確実に時間通りに
着くので歩いて行きました。道の右側はこういう緑の丘陵地です。

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道の左側は住宅地。
ちょっと先に行くとドッグランがあり、公立病院があり、静かでのどかなところです。

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並木の木の葉も少しずつ秋色になってきました。

ご存知の方も多いように、バスク地方ではスペイン語とバスク語が公用語として使われています。

バスク語オンリーの学校、バスク語+スペイン語ミックスの学校の何れに通わせるかは
各家庭の目的やポリシー、将来の方向性によりますが、
地元志向の人達が多かったり
バスク地方内で公的な仕事に就くにはバスク語が必須だったり
バスク語が禁止されていた時代にスペイン語しか習得できなかった親世代がわが子には
バスク語を習得して欲しいと願う理由から、バスク語オンリーのIkastolaと呼ばれる
3歳から16歳までの一環教育施設に通わせる家庭の割合が高いようです。

ただバスク語はバスク地方外では役に立たないので、転勤が多かったりバスクに短期間
在住予定、または子供がある程度大きい家庭は
子供にも負担にならず将来のためにも
スペイン語とのミックス校やインターナショナルスクールに通わせる、といった様子です。

Ikastolaでは、スペイン語は英語と同じく「教科」としてカリキュラムに入っていて
ほぼ全ての授業はバスク語で行われます。

バスク政府や教育機関は当然バスク語の普及と継承に力を入れていますし
サン・セバスチャン市内やギプスコア県の内陸部の街では生活の場でバスク語を耳にする確率は
かなり高いのですが、その日の保護者会では先生からこんな話がありました。

近年学校内での生徒間の会話はほとんどスペイン語になってきてるそうで、授業中でも
バスク語での先生からの問いにスペイン語で答える生徒がいる状態、先生の話は全て理解できているし
EGA(バスク語能力検定試験の最高レベル)を受ければほとんどの生徒が合格できるレベルのはずなのに
生徒間では話そうという努力をしない、と。

バスク政府と現場の先生達は苦肉の策で「学校内でバスク語を使う」という点を成績評価に加えたそうです。
テストの点数が良くても普段の会話をバスク語でやらないと総合評価が下がる、という仕組みです。

わざわざバスク語を習得する場にいるのですから、バスク語を使う努力をするというのは当然なことですが
若者の生活の場でのバスク語が衰退していってるのは、コミュニケーションツールとして
魅力に乏しいってことなのでしょうか。

その後、高校・大学では入学手続き時にバスク語・スペイン語の何れかで授業を受けるか
選べるようになっていますが、長男が通う公立大学では学期が始まっても希望教科のバスク語講師が

欠員でスペイン語でのクラスに編入ということがたまにあります。

一方、最近政治力が強くなっている某政党が「工事現場責任者にバスク語話者がいない所には
補助金を出さない」と言ったり、サン・セバスチャンの夏祭りにある業務で関わっていたスペインの
他地方の会社に「バスク語で対応できないなら取引は行わない」と直前に契約をキャンセルしたりと
政治的に、排他的に利用される場面を見ると嫌な印象を受けます。

言語は純粋にコミュにケーションのツールであって、その言葉を使う人達と交流したい
その人達や土地にある文化も含めて興味・好感・愛情を感じる
というのが習得の最大のモティベーションじゃないのかな、と常日頃思っているのですが。

バスク語に関しては、自分がどういう言語環境にいるかで感じ方・考え方が変わると思いますので
ご自身がバスク語が良くおわかりになって、周りも全てネイティブスピーカーという方には
この日記は失笑されるかもしれませんけれど。


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